ロードレースやタイムトライアル、トラック競技、トライアスロンの分野のアスリートやレーシングチームへのサポートと、彼らとの共同開発により、ARGON 18は着実に進化を続けた。2006年にはトライアスロンのロングとオリンピックディスタンスの2分野で3つの世界チャンピオンのタイトルを獲得する。
2008年にはタイムトライアルバイク「E-114」がユーロバイクアワードを受賞。ヘッドチューブとフォークが一体となる独創的なフレーム構造や、エアロダイナミクスを向上させる機能の数々、ハンドルの上下高、ポジションを自在に変化させることができる自由度の高い画期的な機構などによる総合性能の高さが国際的な評価を受ける。
いちサイクルショップを元に始まったARGON 18のビジネスは、1999年以降も毎年20%の割合で伸び続けた。ARGON 18はカナダのチームスパイダーテック、アメリカのジェリーベリープロサイクリングチームとのパートナーシップを通じて、常にレースの環境のなかで研究開発を行ってきた。プロチームの実戦から得られたフィードバックをもとに、リューの追い求める「Optimum Bike」の開発は続いた。
そして2015年にはサブスポンサーに名を連ねるドイツ籍のUCIプロコンチネンタルチーム BORA ARGON 18が世界最高峰のレース、ツール・ド・フランスへの出場を果たす。ツールへの出場はバイクメーカーとしては夢の成就とも言えるが、リューのこだわりは、一方的なサプライヤーとチームの関係でなく、互いが密な関係を持ち、両者がさらに前進できる環境を築くことを前提にしていた。チームはレースを走り、ARGON 18は選手たちと協働しながらバイク開発に専念した。