我々は誰もが身体の健康と背中合わせで、その健康じたいを害する可能性を背負って生きています。何かの拍子に身体の不調が起こり、それが病気として診断された場合、比較的容易に治療で治るもの、完治が困難な難病と言われるものなど、その数や種類は数えられないほど存在します。しかし厳然たる事実として、罹患した者は病気と向き合い、戦う姿勢をみせるひとが少なくなく、ここに人間の素晴らしさと可能性を垣間見ることがあります。そして最先端医療を以て、医療関係者が全力で患者を健康に戻す努力を行い、これにひとの持つ潜在能力を引き出すことができれば、時として奇跡と言われる結果につながることもあります。
糖尿病。
その名は誰もが知る病です。しかし果たして糖尿病について、健康な人々の理解はどのくらいのものでしょうか。東京都保健医療局のHPには糖尿病について次のように説明しています。
『糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が長期間続く病気です。血糖値を下げるインスリンというホルモンの量が不足したり、働きが悪くなったりすることで起こります。私たちの体は、食べ物や飲み物が消化・分解されてできるブドウ糖をエネルギー源にしています。インスリンは、食後に血糖値が上がり過ぎないようにブドウ糖の量を調節したり、ブドウ糖を細胞に送り込んで活動エネルギーに変えるなどの重要な働きをしています。ところが、インスリンが不足したり働きが悪くなると、体の細胞にうまくブドウ糖を取り入れることができなくなり、エネルギーが筋肉や内臓に届かなくなってしまうのです。』
糖尿病とは、摂取した栄養分の「糖」を体内に吸収するときに必要なインスリンの異常により、体内に取り込む糖の調節が不調となり、いわゆる高血糖の状態となることです。症状は喉が渇いたり、疲れやすくなり、意識障害をはじめ、深刻な症状を引き起こすこともあるようです。糖尿病は大別して1型と2型に分けられ、前者は膵臓からインスリンがほとんど出なくなる、自己免疫などによって発症するタイプ、後者はインスリンが出にくくなったり、インスリンじたいが効きにくくなり血糖値が高くなるタイプで、不規則な生活習慣が原因と言われています。また、糖尿病は成人の病気であるイメージがありますが、小学校低学年から高学年に発症する小児糖尿病があり、あまり知られていませんが、1年間に500~600人の子供が発症しています。
本コラムの掲載にあたり、糖尿病についてどうしても触れる必要があり、可能な限り簡潔に記しました。もちろんこの病について十分に紹介しきれていませんが、糖尿病に苦しみ、この病とともに生きるみなさんが世界中に存在します。そして、そんな彼らを救いたい医療関係者、従事者が存在します。それだけではありません。このムーブメントに共感して、これを後押しする自転車のブランドがあります。それがARGON 18。
糖尿病と生きる世界中の人々を応援するプロジェクト
糖尿病をはじめとした深刻な慢性疾患の克服を企業の存在意義に掲げるノボ ノルディスク。同社は1923年にデンマークで設立された国際的なヘルスケア企業で、糖尿病に苦しむ世界中の人々のためにユニークなムーブメントを行っています。そのひとつがプロサイクリングチームの運営。チームノボ ノルディスクは所属選手全員が1型糖尿病であることで知られ、我が国においては、毎年10月第3週に栃木県の宇都宮で開催されるジャパンカップロードレースの常連チームとして、ロードレースファンの間で注目されています。そしてチームが乗るバイクがARGON 18のSUM PRO。今年もジャパンカップに彼らがやってきます。
本コラムの後編は、チームノボ ノルディスクとARGON 18が、小児糖尿病と生きる子供たちのために行っているムーブメント「サマーキャンプ」をご紹介します。サマーキャンプは毎年子供たちの夏休みである8月に全国数カ所で開催。ノボ ノルディスクの元選手がセミナーやスマートトレーナーを駆使してデモンストレーションを行うものです。1型糖尿病とともに生きるサイクリストが、ロードレースという過酷なスポーツと対峙する様は、小児糖尿病の子供たちに大きな夢と希望を与えます。